未来への不安と過去への後悔は、人に絶えず存在する悩みだ。

時間は不可逆だ。 だからこそ人を傷つけてしまったり、言いたかったことが言えなかったり、自分のやってしまったことや逆に自分ができなかっとことについて、いつまでも後悔してしまう。

未来は不確定だ。 だからこそ人はいつか来る災害や不運を思い、眠れなくなるほど不安に駆られるのだ。

そんな我々人間に、哲学者のアルトゥル・ショーペンハウアーはこう喝を入れる。

だから、ただもう未来の計画と配慮のみに明け暮れたり、過去への憧憬にふけったりするのはおやめなさい。 現在だけが、現実的かつ確実なものであるのに対して、未来は、ほとんどいつも私達が思い描いていたものとは別様であり、 過去もまた、私達が思い浮かべるものとは別様であること、しかも未来も過去も全体として見れば、みかけほどたいしたものではないことを決して忘れないようになさい。

はるか彼方にあるものは、肉眼では小さく見え、心眼では大きく見える。

だからいつも朗らかに現実を受け入れるべきだ。
直接的な不快や苦痛のないまずまずのひとときがあれば、それを意識的にそのまま享受すればよい。
過ぎたことに腹を立て、あるいは未来を案じて、現在の楽しいひとときを退けたり、わざと台無しにするのは、実に愚かしいことだからである。

今日という日はただ一度限りで二度と来ないことを絶えず肝に銘じるべきだ。

以上、ショーペンハウアー - 幸福について(光文社古典新訳文庫)の第五章から引用。

私はこの文に深く心を刺された。 この記事は、私の「忘れてはいけない備忘録」として残しておく。